秀鳳 特別純米 無濾過生原酒 雄町を飲んだ感想
特別純米とは思えない。
ジュワーッと口の中に広がる、しっかりしたお米の甘旨みが心地良い。
僅かとは言え立ち香すらあるし、含み香も普通に充分ある。

精米歩合55%だし、蔵元さんによったら、これで普通に純米吟醸名乗ってるところもありそうなレベル。
その含み香…というか後味、確かに少し重さはあって、それが秀鳳らしいとも言える。
「重さ」と言うとマイナスな印象を与えそうだが、飲んでいて疲れてくるような「くどさ」ではなく、一つの癖として楽しめる、そういった種類の重さ。

飲んでいてとても美味い。そして結構、味や飲みごたえそのものが”力強い”と感じる。
旨みが強く、飲み進めるほど特別純米感の無さに驚く。
もしかするとこの力強さと含み香は、雄町らしいギュッとしたお米の旨味に由来するのかもしれない。
気付くと一瞬で無くなっていた。
もう少し軽さがあればもっと点数が伸びただろうが、それでも間違いなく旨かった。
93点。
(飲んだ時期:2025年12月)
秀鳳 特別純米 無濾過生原酒 雄町の補足情報
製造者:(有)秀鳳酒造場
アルコール度数:17度
精米歩合:55%
酒米:雄町100%
日本酒度:+2
酸度:1.6
アミノ酸度:0.8
酵母:山形NF-KA酵母
今回はサーモン、赤シャリの中トロ鉄火、しまあじ、鰤の寿司に合わせてみたが、寿司に合わせるには少し力強さ、含み香の華やかさが目立った気がする。

寿司って本当に、ペアリング難しいなあ・・・・。
特別純米酒を名乗っているから、寿司にも合わせやすいかと思ったのだが、蓋を開けてみれば純米吟醸を充分名乗れそうな味わいで、それほど食中酒っぽくは無かった印象。
ペアリングをもう少し工夫すれば、もっと点数は伸びたかもしれない。

秀鳳では、割とカプエチ感がしっかり出るように「きょうかい1801」と「山形県産酵母(NF‑KA)」をブレンドして造る「リッチな味わい系のラインナップ」と、「山形県産酵母(NF‑KA)」単体で仕込む「酢酸イソアミルもバランス良く感じられるラインナップ」と2つに分けていると伺った。
京都高島屋の催事か何かで、10種類近い秀鳳のお酒を試飲させてもらった際、前者の「リッチな味わい」のラインナップを一通り飲んでも「うーん、秀鳳ってもっと美味しかった気したんだけどなあ・・・少し鋭い重さがあるなあ・・・」と思っていたのだが、蔵元のお兄さんと会話を交わすうち、後者の「酢酸イソアミルも感じられるラインナップ」が少し別の場所に固めて置いてあることを教えていただき、そちらを試飲したところ、どれもこれも唸るほど美味しかった。
いくら好みの問題とは言え、あまり「カプエチ=美味しくない」みたいな単純な物言いはしたくないのだが、ここまで顕著に好みが二分してしまうと、やはりお酒を選ぶときには、酵母に着目する必要があるなあと痛感してしまった。
秀鳳のお兄さんも、長時間お話と試飲に付き合っていただきありがとうございました。
(3本も購入したので、許してください・・・!)

