新政 産土(アース) 生酛木桶純米-Colors-を飲んだ感想
物凄く贅沢なお味。
「新政らしい甘みとピチピチ感」はしっかりありつつ、さすがの高級感も兼ね備えている。
4,000円だからかなりの高級酒なんだけど、こうして価格の上昇に比例して、本当に『贅沢さが増す』という体験は、日本酒においては結構希少なようにも思われる。
例えばエクリュやヴィリジアンなんかと比べて、本当に口の中で膨らむ上品さと、それに伴う高級感が心地良さがより増している気がする。
酸味あるピチピチジュース系ではありつつ、鋭い酸味は無い。
言葉を選ばずに言うと、めちゃくちゃ美味しい生搾りのフルーツジュースの奥に、少し苦味を伴った深みがある感じ。
そして、喉越しのキリッとした炭酸味は結構あるので、やっぱり『超新鮮フルーティー日本酒ジュース感』みたいな、新政の特徴は色濃く感じる。
立ち香は結構強くて、これまた新政らしい『フルーツが持つ酸味が香りに混ざってくる』ような香りで、そして香りそのものに、ジューシーさを含んでいる。
今回は事前情報で、オリーブ系の肉料理やコートレット、マリネなどの洋風に近い料理との相性が良さそうだったので、1枚目の写真の「魚介のバジルオイル漬け」と、鶏肉の香草焼き、サーモンマリネを合わせてみた。
このペアリングは本当に素晴らしく、料理とのバランスも相まって、ここまで美味しかったのかもしれないな、という気もする。
一方で、もう1つ中トロの炙りを購入したのだが、これとはそこまで相性が良くないように感じた。
やはり和食よりは、白ワインのように洋食に合わせるイメージが強いお酒なのかもしれない。
やはり正直、『日本酒っぽくは無いよな』とは思いつつ、喉の奥に流れる甘みあるジューシーさが心地良すぎて、思わず目を瞑って頷いてしまう。
酸味と甘みがある(甘みに至っては、炭酸ジュースか?ってくらい感じる)のに、唇に一切のペタ付きが無い。
まあ、甘いは甘いんだけども…唸る旨さがある。
そしてやっぱり、これは日本酒と言うよりは『新政』という独立したジャンルなので、これの採点は非常に難しい。
一般に想定される日本酒らしさ、みたいなものからはどうしても離れてしまうため、「良いのかな?」という気持ちがありつつ・・・どうしてもこれは、96点を付けてしまう。
ここまで一口一口しみじみと感動させてもらっておいて、これ以上低い点数を付けることができないな、と言う感じ。
入手困難な上、価格帯としてもなかなか飲めるものでは無いが、とても美味しかった。
(飲んだ時期:2025年8月)
新政 産土(アース) 生酛木桶純米-Colors-の補足情報
製造:新政酒造株式会社
アルコール度数:13度
精米歩合:麹米50%、掛米50%
酒米:陸羽132号100%
日本酒度:不明
酸度:不明
酵母:きょうかい6号
公式の触れ込みでも、「キャッチーさと幽玄さが共存する」と書いているが、実際に飲むと、どういうことを言っているのかよく理解できる。
結局、ジュースっぽいキャッチーさと、奥深い味わいがバランスよく共存し、唯一無二の味わいに仕上がっている、ということだと思う。
新政にハマり始めたのが比較的最近なので、幻の「ラピス」は飲んだことが一度もないのだが、それを彷彿とさせる味わいらしいので、それはそれでまた、とても良い経験ができた。