一歩己 裏葉柳 純米大吟醸原酒 美山錦40を飲んだ感想

物凄く旨い。

 

ネットの事前情報で結構甘いと聞いていたが、甘みと言っても『すぅ~~っと細く鼻奥を抜けていく感じ』で、くどさや重さに類するものは一切無い。

 

職場の後輩ちゃんが福島に帰省するとのことで、当サイトを参考にしながら、店員さんと一緒に選んでくれたとのこと。

 

ただ、そのエピソードを一切抜きにしても、本当に物凄く美味しい。

 

甘口と言っても、新政のようなピチピチジュース系では無く、少しだけピリリとした酸の後、本当に細くたなびくような心地好い甘さが抜けていく。

 

 

キレが良いからか、「これは甘口……なのか……?」と分からなくさえなってしまうのだが、確かに口に含んだ瞬間は、マスカット系に近い甘みがフワッと広がる。

 

 

そして一切尾を引く重みが無いので、甘さを感じる時間が物理的に短い。

 

 

事前にインターネットの情報で、おすすめのペアリングは「ステーキや焼き肉などのアウトドア料理」と書かれていたため、黒毛和牛のステーキを1枚購入し、家で焼いてみることにした。⬇

全体の香りの傾向としては、含み香がふわっと広がる一方で、立ち香自体は大人しめ。

 

物凄く深く嗅ぐと、ホワイトボードマーカー様(基調香)やわずかにエステル系の香りがするのみだと思う。

 

 

間違いなく、含み香を楽しむタイプのお酒。

 

甘さが去った後も、じんわりとした余韻が響くのだが、その中には嫌な重さは本当に一切無い。

 

飲み込んだ後の余韻には、辛味に似た味わいや苦味のテイストさえ感じ、それらが心地良さとは別種の、キレのようなものを生み出しているとさえ感じる。

 

 

だからこそ全体の印象が『とにかく心地良い』に収束する。

 

『裏葉柳』という意味がよく分かる。

 

正直、他のお酒より頭1つか2つは抜けているように思う。

 

 

雪冷えの状態から常温に置きっぱなしで、1時間半程度で飲みきったが、最後までくどさやベタ付きは一切出て来な無かった。

こういった甘味ある和牛と日本酒のペアリングが物凄く合うということを知れたのも、今回の大きな発見であった。

 

 

ステーキは、おろし系のさっぱりしたステーキソースと、ほりにしのようなオリジナルスパイスを使った2つの食べ方を試したが、どちらもお酒の甘味と完璧にマッチしていて、口の中でそれらが混ざり合った瞬間、本当に唸ってしまうほどに旨い。

 

いただきものということもあってペアリングまで相当にこだわったが、最高の日本酒をおそらく最高の状態で楽しむことができて、全体の体験としても非常に満足度が高かった。

 

 

確かに事前情報通り、刺身などに合わせやすい感じでは無いかもしれないが、だからと言って「濃いお酒」という印象は全くない。

 

 

『スパイスをよく効かせたステーキ』とこれほどよく合うのは、実は酒質の奥に、良く意識しないと感じないほどの”骨”みたいなものがあるからかもしれない。

 

細くたなびく甘味の中に、むしろ辛口のテイストがあるのが本当に凄い。

⬆こちらは洋風のソースのチキンステーキで、やはりこれもお酒によく合った。

 

年100本近いペースで日本酒を飲んできて早6~7年以上になるが、今の私がここまで感動できる『知らないお酒』がまだあったのかと、本当に感動した。

 

 

繰り返すようだが、とにかくバランスが完璧。

 

口に含んだ瞬間に感じる含み香はたぶんしっかり甘いのだが、飲み込むとそれが辛口に変化しているようにさえ感じる。

 

 

言わば、自分が欲しいバランスを欲しいままに提供してくれる感じがあるお酒。

 

点数化は本当に悩んだが、今回は97点とさせていただく。

 

 

100点付けない理由としては……非常に感覚的なものだが……立ち香が弱い分、極々僅かに、ホワイトボードマーカー様が喉奥に残るかな・・・?という点だけ。

 

 

もう少し初心者の頃なら、本当に忖度抜きで勢いで100点を付けてしまいそうな酒質を、充分に備えている。

 

 

ただ、他の採点基準や点数の傾向を鑑みて、今回は97点とする。

 

本当に満足度の高いお酒だった。

一歩己 裏葉柳 純米大吟醸原酒 美山錦40の補足情報

製造:豊国酒造合資会社

アルコール度数:14度

精米歩合:40%

酒米:美山錦100%

日本酒度:不明

酸度:不明

酵母:不明

 

https://azuma-toyokuni.com/item/283/

 

6月、7月限定の販売のようで、特に関西では、入手難易度も非常に高いお酒だと思われる。

 

まだ見ぬ良いお酒を知れて、本当に良かった。