車坂 山廃純米吟醸酒2023BYを飲んだ感想
1口目から、『これがまさに、車坂に求めていた旨さだ!』という鮮烈な印象が襲ってくる。舌上で転がしても酸味はほとんどなく、温度が上がってくると、さらに心地良い香りとごく僅かな(喉奥に響く)ピリッと感がある。
味としては割と強めの辛口で、その一方で香りの立ち方は相当穏やか。
(香りは喉奥にふんわりと立ってくる)
とにかく旨い。 もっと吟醸香が立つ方が好みだと言う人も結構多いと思うんだけど、私はこういう心地良い辛口系がとても好き。
繰り返すようだが、こういう穏やか系は、人によっては評価してくれない可能性もあって、ある意味常飲系の日常に寄り添うお酒というか、週末にこれを2~3合一気飲みできれば相当幸せだな、という感じ。
とにかく一切のクセが無くて、それでいて後口(正確には真ん中あたりにふぁぁっと膨らんでくる味わい)は穏やか。
口に含んですぐに飲み込むような飲み方をすると、温度が上がっても舌上ではむしろ硬く、飲み込んだ後に鼻の中に染み渡る(くどさも強すぎ感もない心地良い香り)が本当に美味しい。
思わず目を瞑ってしまうような、クーッとした旨辛口。
それでいてこの心地良さと辛味がずっと共存しているという点が、本当にすごい。
ある意味特別感が無い分、『美味いけど技巧がない』と言われるかもしれないのだが、そのバランスと心地良さをここまで高めれば、それは唯一無二と言えるだろう、と個人的には感じる。
やはりこのバランスを私は評価せざるを得ない。
98点。 (飲んだ時期:2024年11月)
車坂 山廃純米吟醸酒2023BYの補足情報
アルコール度数:16.5度精米歩合:55%
酒米:美山錦
日本酒度:+3.4
酸度:1.7
酒店のポップに『バナナやメロン』とあるので、私の大好きな酢酸イソアミル系。
やはり、旨みと酸のバランスの良さが最高だと書かれていることに納得。